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2012年01月30日

『ウインターズ・ボーン』

あえて、「国」とかかない。

寒い「土地」での切実な、乏しさを描いているという点で『フローズン・リバー』を思わせた。

そこでは、「国」という言葉があまり意味も持たないほどに、頼りない。

17歳の「子供」であるはずのティーンエイジャーが、まだもの心つかない妹と弟に猟銃の使い方を教える、という切実さ。

お金のために、軍隊に入りたいと願う、切実さ。

そんな切実さは、南国の乏しさにはない。

みなが切実な事情を抱えている村に、もう一つのアメリカが見える。

レッドネックと呼ぶには、切実すぎる。

大人も、子供を守る存在である前に、自分を守らないといけない、切実さ。

映画をみながら、思い出したのは、ドキュメンタリーのため、向かったアメリカのアーカンサス州の山間の小さな村を訪ねたときのこと。

夜8時ぐらいに、お腹がすいて、仲間と入った個人経営のハンバーガーショップ。

扉を開いたときの、従業員と、客の視線を思い出した。

「頼りになるのは、身内だけ。」という、「こいつらは、どこのだれだ」と、警戒する視線。

一瞬、聞き耳をたるように、店が静かになった。

そのとき自分が、黄色人種であることをひどく意識せざるを得なかった。



そのような厳しいリアリティを生き抜かなければならない人がいる。

それを突き刺す様なリアリズムで魅せてくれた監督に感謝。

『フローズン・リバー』につづいて、骨太な女性監督を知り、嬉しくなった。

『ウインターズ・ボーン』



ウィンターズ・ボーン
Winter's Bone
監督 デブラ・グラニク
脚本 デブラ・グラニク
アン・ロゼリーニ
原作 ダニエル・ウッドレル
製作 アン・ロゼリーニ
アリックス・マディガン=ヨーキン
製作総指揮 ジョアンサン・ショイアー
ショーン・サイモン
出演者 ジェニファー・ローレンス
音楽 ディコン・ヒンクリフ
撮影 マイケル・マクダナー
編集 アフォンソ・ゴンカルヴェス
配給 ロードサイド・アトラクションズ
ブロードメディア・


タグ :映画

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Posted by ゴンピンたかこ at 23:19│Comments(0)映写室
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