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2012年03月16日

『のんちゃんのり弁』

ちょっと最近はやり?の食を描いた作品にはない、人間くささの漂う作品。
(ちょっと表現を自粛しました。)

というか、はっきりいおう。

ちょい前からの、おシャレな食育映画には、違和感を感じている。

新藤兼人監督は、映画の中で食を入れることで、人間らしさが出るといっていた。

『のんちゃんのり弁』は、熱血バツイチ女子の新しい人生の局面を描いていている。漫画原作だからか?少しオーバーだし、ちょっと生臭い。しかし、不器用ながらも、人間の食べる、ということを追求した映画となっているし、ときには情けないほど情けない人間のダメさもあふれていて、好感が持てた。

今まであまり公にしてハッキリいったことがなかったが、『かもめ食堂』からスタートした、あのチームの(とかくのは監督は違ってもルックスが一緒なので)「食育」系シリーズには違和感がある。『かもめ〜』はまだ良かった。スタートだし。しかし、良いと言っても、「こういう映画があってもいい」と思う感じであり、これも味というヤツか、という良いであり。(フィンランドだから、アキ・カウリスマキ狙いだと思ったのだが、バッドコピー、という感じがしていた。)

このチームの描く食は、おしゃれだけど、人間描写が徹底して現実感がないので、感情もない。
「ほんわか?」しているかもしれないが、「無印×品」のカタログを観ているときの、ほんわか感にすぎず、そこには一切人間を感じないのだ。

『マザーウォーター』も、同じく。

人間を感じない、食。それって「食」っていえるのか、よう。って思うんです。

だから、田辺聖子的な食への愛情があふれる『南極料理人』や『のんちゃんのり弁』みたいな、食の本質に迫った作品が、ファッション食育映画に埋もれてしまうのが悔しくてなりません。(というか『のんちゃんのり弁』は見た目にあまり食欲をそそらないのも災いしてるかな?)

『のんちゃんのり弁』は土臭くて、緒方明監督のあったかさにあふれていました。そうそう、村上淳がこんな役もできるんだーと。すごくはまっていた。目から鱗だった。

『いつか読書する日』もそうだ。この小恥ずかしい、キューンとする感じの男女の関係を、ちゃんとまっすぐにとらえて、描くのがうまい。大体こういうキューン感覚は、実写でやっちゃうとくさくなりすぎるか、魔法が消えてしまうものなんだけれども。緒方マジック。

キャスト
永井小巻:小西真奈美
永井小巻(中学時代):水野絵梨奈
永井乃里子(のんちゃん):佐々木りお
永井範朋:岡田義徳
川口建夫:村上淳
玉川麗華:山口紗弥加
建夫の祖母:花原照子
健夫の父:上田耕一
園長先生:斉藤暁
「小雪」のママ:絵沢萌子
戸谷長次:岸部一徳
原フミヨ:倍賞美津子
スタッフ
原作:入江喜和「のんちゃんのり弁」(講談社「モーニングKC」)
監督:緒方明
助監督:浅利宏
脚本:緒方明、鈴木卓爾
音楽:Coba
主題歌:スネオヘアー「ロデオ」(EPICレコードジャパン)
撮影:笠松則通
照明:石田健司
録音:横溝正俊
美術:金勝浩一
編集:矢船陽介
フードスタイリスト:飯島奈美
スタイリスト:西ゆり子
ヘアメイク:本田真理子
製作:「のんちゃんのり弁」製作委員会(ムービーアイ・エンタテインメント、木下工務店、キングレコード、中部日本放送)
配給:ムービーアイ・エンタテインメント、キノ・フイルムズ
協賛:みそ健康づくり委員会



タグ :映画

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Posted by ゴンピンたかこ at 23:22│Comments(0)映写室
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